《特許訴訟 1》
原審(平成8年(ワ)第202号 契約代金等請求事件)の控訴審判決
★〔育良精機製作所事件控訴審〕に関する紹介文献
1.「被用者が入社前にした考案の使用者への承継に関する黙示契約の成否と対価」知財管理56巻1号(2006年1月)123頁
2. SHIMANAMI Ryo's website 判例研究
平成16年9月29日判決言渡 東京高等裁判所 知的財産第2部
★平成15年(ネ)第2747号 契約代金等請求事件
一審原告控訴人 A
【主 文】
1 一審被告株式会社育良精機製作所の本件控訴に基づき,原判決主文第2項を次のとおり変更する。
(1) 一審被告株式会社育良精機製作所は,一審原告に対し,68万9249円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済み
まで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 一審原告の同一審被告に対するその余の請求を棄却する。
2 一審被告株式会社広沢製作所の本件控訴に基づき,原判決主文第3項を次のとおり変更する。
(1) 一審被告株式会社広沢製作所は,一審原告に対し,111万7898円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 一審原告の同一審被告に対するその余の請求を棄却する。
3 一審原告の本件控訴を棄却する。
4 一審原告の一審被告らに対する当審において追加した予備的請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを15分し,その1を一審被告らの,その余を一審原告の各負担とする。
【裁判所の判断 結論】
以上によれば,一審原告の一審被告らに対する本件無名契約に基づく対価請求については,1708万円及び附帯金員の連帯支払を求める限度で理由があり,その余は理由がなく,当審において追加した予備的請求はいずれも理由がない。
また,一審原告の一審被告らに対する職務発明等に基づく対価請求のうち,一審被告育良精機に対する請求については,68万9249円(上記認定に係る一覧表No.16の24万8000円と,
当審で争われていない原判決の認定に係る一覧表No.24の4万3511円及びNo.27の39万7738円との合計),
一審被告広沢に対する請求については,111万7898円(上記認定に係る一覧表No.30の37万2000円及びNo.40の10万2000円と,
当審で争われていない原判決の認定に係る一覧表No.34の1万4023円,No.35の5万1672円,No.65の28万7496円及びNo.70の29万0707円との合計)並びに各附帯金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。
よって,原判決中,一審原告の一審被告らに対する職務発明等に基づく対価請求に係る部分は不当であるから,
一審被告育良精機及び一審被告広沢の本件各控訴に基づき,原判決主文第2項及び第3項をそれぞれ本判決主文第1項及び第2項のとおり変更することとし,
その余の原判決は相当であって,一審原告の本件控訴は理由がないから棄却し,一審原告の一審被告らに対する当審において追加した予備的請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。
【判決総額】
1708万円+68万9249円+111万7898円=1888万7147円
なお,そのほかに利息金770万円超が加算されます。
【注 目 点】
本件訴訟は異例尽くめの興味ある内容で凝縮されている。先ず,本件訴訟は平成8年に提起され,企業vs個人が発明の対価で争う訴訟として初めて訴額が5億円を超えたこと,
一審だけで7年間も要し,8年以上を経過して決着,さらに一審原告から提出された証拠書類だけで160点にも上ること,判決額は歴代4位に留まっているものの,訴訟が長期化しているため,利息金だけでも770万円を超えたこと,
本件訴訟以外にも被告らはまだ数件の譲渡対価の未払いを残しながらも依然としてそれらの対価支払いを拒否し,その中の一部で再び新しい訴訟が提起され,双方の法廷闘争はいつ果てるとも分らない状況にあること(水戸地裁 土浦支部)
等々の数多くの注目点を含んでいる。
《特許訴訟 2》
平成15年4月22日 第三小法廷判決
★平成13年(受)第1256号 補償金請求事件
【要 旨】
1 職務発明について特許を受ける権利を使用者に承継させた従業者は,使用者があらかじめ定める勤務規則その他の定めによる対価の額が特許法35条3項及び4項所定の相当
の対価の額に満たないときは,その不足額を請求することができる。
2 特許法35条3項の規定による相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効は,使用者等があらかじめ定める勤務規則その他の定めに対価の支払時期に関する条項がある場合に
は,その支払時期から進行する。
【注 目 点】
会社の業務で発明した社員が、社内規定を超える対価を求めることができるか否か、これまで下級審では「請求権がある」との判断が定着しつつあったが、最高裁第3小法廷(上田豊三裁判長)は4月22日、これまでの下級審の判断に添った「請求権がある」とする
最高裁として初めての判断を示し、オリンパス光学工業の上告を棄却した。
《その他の注目判例1》
H13.5.22 東京高裁 平成11(ネ)3208 特許権 民事訴訟事件
★平成11年(ネ)第3208号 補償金請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成7年(ワ)第3841号)
【注 目 点】
職務発明の譲渡対価は企業が一方的に定めることはできない。
特許法は,その35条3項で「従業者等は,契約,勤務規則その他の定により,職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ,又は使用者等のため専用実施権を設定したときは,相当の対価の支払を受ける権利を有する。」と定めている。
一審被告は,使用者等は,上記条項にいう「勤務規則その他の定」によって,職務発明に係る特許権等の使用者等に対する承継等だけでなく,特許権等の承継等の「相当の対価」の額も,従業者等の同意なしに,一方的に定め得る旨主張する。
しかしながら,使用者等は,職務発明に係る特許権等の承継等に関しては,同項の,「勤務規則その他の定」により,一方的に定めることができるものの,「相当の対価」の額についてまでこれにより一方的に定めることはできないものと解するのが相当である。
《その他の注目判例2》
H15.10.16 東京高裁 平成15(行ケ)349 商標権 行政訴訟事件
★平成15年(行ケ)349号 商標権 行政訴訟事件
【注 目 点】
2004年はオリンピックイヤー,商標権「がんばれ日本」の審決取消請求事件の判決文を掲載します。
商標権はどのような場合に無効となるのか、「使用している」ことの認定基準などの判決理由が参考になります。
目次付き判例
【主な職務発明対価請求訴訟参考資料(PDFファイル)】
《判示事項抜粋》
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