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特許訴訟・判例


《特許訴訟・判決速報 最新》---下記原審(平成8年(ワ)第202号 契約代金等請求事件)の控訴審判決

【判例評釈】---以下のモノクロ部分は判例時報より引用
被用者が入社前にした考案に ついて、使用者への実施許諾 ないし登録を受ける権利の一 部譲渡の対価として、相当額 を支払う旨の合意が黙示的に されたとして、使用者に対す る対価の支払請求が認められ た事例

・・・本件は、職務発 明事案そのものではないが、従業員が 入社前にした発明(考案)につき、企 業に対する黙示の契約に基づく対価請 求が認められた事案に係るものであ り、類例の見当たらない事件である 上、職務発明の周辺事象に係る事例と しても、実務上、参考になる部分を含 むと思われることから、紹介するしだ いである
(判例時報 2005/5/21付 1887号より引用)。

平成16年9月29日判決言渡 東京高等裁判所 知的財産第2部
★平成15年(ネ)第2747号 契約代金等請求事件
一審原告控訴人 坂本兼昭(本サイト管理人)
目次付き(判決全文)pdf

【主   文】
1 一審被告株式会社育良精機製作所の本件控訴に基づき,原判決主文第2項を次のとおり変更する。
(1) 一審被告株式会社育良精機製作所は,一審原告に対し,68万9249円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済み まで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 一審原告の同一審被告に対するその余の請求を棄却する。
2 一審被告株式会社広沢製作所の本件控訴に基づき,原判決主文第3項を次のとおり変更する。
(1) 一審被告株式会社広沢製作所は,一審原告に対し,111万7898円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済みま で年5分の割合による金員を支払え。
(2) 一審原告の同一審被告に対するその余の請求を棄却する。
3 一審原告の本件控訴を棄却する。
4 一審原告の一審被告らに対する当審において追加した予備的請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを15分し,その1を一審被告らの,その余を一審原告の各負担とする。

【裁判所の判断 結論】
以上によれば,一審原告の一審被告らに対する本件無名契約に基づく対価請求については,1708万円及び附帯金員の連帯支払を求める限度で理由があり,その余は理由がなく,当審において追加した予備的請求はいずれも理由がない。
また,一審原告の一審被告らに対する職務発明等に基づく対価請求のうち,一審被告育良精機に対する請求については,68万9249円(上記認定に係る一覧表No.16の24万8000円と, 当審で争われていない原判決の認定に係る一覧表No.24の4万3511円及びNo.27の39万7738円との合計), 一審被告広沢に対する請求については,111万7898円(上記認定に係る一覧表No.30の37万2000円及びNo.40の10万2000円と, 当審で争われていない原判決の認定に係る一覧表No.34の1万4023円,No.35の5万1672円,No.65の28万7496円及びNo.70の29万0707円との合計)並びに各附帯金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。
よって,原判決中,一審原告の一審被告らに対する職務発明等に基づく対価請求に係る部分は不当であるから, 一審被告育良精機及び一審被告広沢の本件各控訴に基づき,原判決主文第2項及び第3項をそれぞれ本判決主文第1項及び第2項のとおり変更することとし, その余の原判決は相当であって,一審原告の本件控訴は理由がないから棄却し,一審原告の一審被告らに対する当審において追加した予備的請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。

【判決総額】
1708万円+68万9249円+111万7898円=1888万7147円
なお,そのほかに利息金770万円超が加算されます。


【注 目 点】
本件訴訟は異例尽くめの興味ある内容で凝縮されている。先ず,本件訴訟は平成8年に提起され,企業vs個人が発明の対価で争う訴訟として初めて訴額が5億円を超えたこと, 一審だけで7年間も要し,8年以上を経過して決着,さらに一審原告から提出された証拠書類だけで160点にも上ること,判決額は歴代4位に留まっているものの,訴訟が長期化しているため,利息金だけでも770万円を超えたこと, 本件訴訟以外にも被告らはまだ数件の譲渡対価の未払いを残しながらも依然としてそれらの対価支払いを拒否し,その中の一部で再び新しい訴訟が提起され,双方の法廷闘争はいつ果てるとも分らない状況にあること(水戸地裁 土浦支部) 等々の数多くの注目点を含んでいる。

【その後の経過】
原告が水戸地裁土浦支部へ新しく提起していた平成15年(ワ)第432号事件、発明等譲渡対価請求事件(中野信也裁判長)は、去る2月7日裁判所の職権で和解勧告があり、急転直下の和解成立となりました。 この時点で、未だ20件の未払いとなっている譲渡対価が残っていたのですが、その全てを放棄する条件付で、しかも対価の額がたったの98万円という信じられないような低額の裁判所提示額でありました。 それにも拘らず、原告が和解に何故応じたのか、簡単に言えば本訴も含め、原告が長期に渡って体験した裁判から、裁判所への不信感が強まり、これ以上の法廷闘争は無意味であることが分かったからであります。裁判所に対し、不信感を抱くことになったその具体的な詳しい事例については、今後何らかの方法で皆さん方へ開示する予定です。青色発光LED事件の原告中村氏が、「日本の裁判所は腐っている」と言われたことを将に現実として体験できましたことを取り敢えず申し上げておきます(2005.3.1 原告:坂本兼昭 記)。


《特許訴訟・判決速報 》

【判例評釈】---以下のモノクロ部分は判例時報より引用
入社前の考案について、使用 者との実施権の設定或いは登 録を受ける権利の一部を譲り 受けることを内容とした黙示 的な無名契約の成立とそれに 基づく対価の請求が認められ た事例

・・・本判決は、事案の具体的状況 に鑑みて苦心の法律構成をしたものと いえようが、理論的にはさらに検討を 加える余地もあるように思われる。 なお、本件では、XのY1らへの入社 後の職務発明等に対する相当の対価に ついても争われている。この点も含 め、本件は、従業員発明に関連する同 種事案の実務上の処理に対し、一定の 示唆を与えるものと思われるので紹介 する
(判例時報 2004/7/21付 1857号より引用)。

平成15年4月10日判決言渡 水戸地方裁判所 土浦支部
★平成8年(ワ)第202号 契約代金等請求事件

【主   文】
1 被告ら(株式会社育良精機製作所, 株式会社広沢製作所)は,原告に対し,連帯して金1708万円及びこれに対する平成8年 7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告株式会社育良精機製作所は,原告に対し,金69万0114円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済みまで年5分 の割合による金員を支払え。
3 被告株式会社広沢製作所は,原告に対し,金130万8980円及びこれに対する平成8年7月27日から支払済みまで年5分の 割合による金員を支払え。
4 原告のその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の,その1を被告らの負担とする。
6 この判決は,仮に執行することができる。


【注 目 点】
特許権等について,実施権を設定したり,権利そのものを譲渡したりする契約は,原則として,有償でなされたものと推定するのが相当であるところ, まして,実施権の設定を受けたりする者が,実施品の製造,販売等を計画しているような場合には,対価の支払についての合意が明示的になされていない場合でも, 対価の請求をしないとする特段の事情がない限り,実施権の設定を受けた者或いは権利そのものを譲り受けた者との間では,合理的な額の対価を支払う旨の合意がなされたものと推定するのが相当である。


【コ メ ン ト】
本件訴訟は請求額500,371,000円に対し19,079,094円の判決。
本件は平成8年6月11日に提起され,実に6年10ヶ月を費やしてやっと一審判決に至ったものである。
その間,口頭弁論35回,原告から提出された準備書面が36回,被告らからは32回の準備書面が提出された。
証拠書類だけでも原告から152点,被告から55点が提出され,判決文は実に71頁の長文となった。
どの数字を見てもトップクラスの高い水準の訴訟と言える。

平成8年当時は,未だ個人の特許訴訟事件としては5億を超えるものは見当たらず(原告調査範囲での認識), 本件訴訟が個人の高額特許訴訟の始まりとして位置づけられるのではないだろうか。
事件当事者として痛感したことは,個人レベルで一つ一つ証拠を集め立証し,企業と対等に闘っていくには, 本人でなければ分からない実に大きなハンデがある。
特に当該事件のように長期化した場合には尚更のことと思う。

現在高額な特許訴訟が相次いでいる中,事件の原告当事者として闘っておられる発明者諸氏の頑張りによって, 将来,技術者・研究者の地位が少しでも向上するようこれからも益々頑張って頂きたく切望する次第である。


本件は原告,被告双方から東京高裁へ控訴され9月29日(水)判決,判決結果は下記のとおり。

《判決結果》
管理人(一審原告)の係る注目の控訴審判決は総額で18,887,147円 の判決となりました。
1審提起から8年,本サイト管理人の係る控訴審(東京高裁)の判決は9月29日午後1時10分より 知的財産第2部 第821号法廷で行われ,篠原勝美裁判長は,一審被告は一審原告に対し総額で18,887,147円を支払えとの判決を下しました。
なお,この他に支払い済みまでの年5%の利息分として770万円超が加算されます。 本訴は被告らが10月25日に支払完了して決着しました。
  

《特許訴訟・判決速報 2》

平成15年4月22日 第三小法廷判決
★平成13年(受)第1256号 補償金請求事件

【要   旨】
1 職務発明について特許を受ける権利を使用者に承継させた従業者は,使用者があらかじめ定める勤務規則その他の定めによる対価の額が特許法35条3項及び4項所定の相当 の対価の額に満たないときは,その不足額を請求することができる。
2 特許法35条3項の規定による相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効は,使用者等があらかじめ定める勤務規則その他の定めに対価の支払時期に関する条項がある場合に は,その支払時期から進行する。


【注 目 点】
会社の業務で発明した社員が、社内規定を超える対価を求めることができるか否か、これまで下級審では「請求権がある」との判断が定着しつつあったが、最高裁第3小法廷(上田豊三裁判長)は4月22日、これまでの下級審の判断に添った「請求権がある」とする 最高裁として初めての判断を示し、オリンパス光学工業の上告を棄却した。


《その他の注目判例1》

H13.5.22 東京高裁 平成11(ネ)3208 特許権 民事訴訟事件
★平成11年(ネ)第3208号 補償金請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成7年(ワ)第3841号)

【注 目 点】
職務発明の譲渡対価は企業が一方的に定めることはできない。

特許法は,その35条3項で「従業者等は,契約,勤務規則その他の定により,職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ,又は使用者等のため専用実施権を設定したときは,相当の対価の支払を受ける権利を有する。」と定めている。
一審被告は,使用者等は,上記条項にいう「勤務規則その他の定」によって,職務発明に係る特許権等の使用者等に対する承継等だけでなく,特許権等の承継等の「相当の対価」の額も,従業者等の同意なしに,一方的に定め得る旨主張する。 しかしながら,使用者等は,職務発明に係る特許権等の承継等に関しては,同項の,「勤務規則その他の定」により,一方的に定めることができるものの,「相当の対価」の額についてまでこれにより一方的に定めることはできないものと解するのが相当である。


《その他の注目判例2》

H15.10.16 東京高裁 平成15(行ケ)349 商標権 行政訴訟事件
★平成15年(行ケ)349号 商標権 行政訴訟事件

【注 目 点】
2004年はオリンピックイヤー,商標権「がんばれ日本」の審決取消請求事件の判決文を掲載します。 商標権はどのような場合に無効となるのか、「使用している」ことの認定基準などの判決理由が参考になります。
目次付き判例




【主な職務発明対価請求訴訟参考資料(PDFファイル)】 《判示事項抜粋》